鮮明な記憶の八年前の一日

   今日、3月18日の朝日新聞社説のタイトルは「震災に学ぶ」、そして、その書き出しは《きょうと同じ穏やかな暮らしが、明日も続く保証はない。8年前の東日本大震災で、日本中のひとたちが改めてそう気づかされた。……》。2011年(平成23年)3月11日(金)14時46分18秒にあの忌まわしい地震が起きました。

   私が会社をリタイアしたのが、2005年5月ですから、会社に行かなくなった生活にようやく慣れ、毎日のように銀座や丸ノ内方面に散歩に出て、有楽町近辺の美味しいランチの店でパスタなどを食べ、家に3時頃帰ってくる習慣が出来た頃です。この3月11日もいつものように家を出ました。

   そして、地震が起きた時間はそろそろ家に帰る地下鉄に乗る頃で、もしいつものようにしていたら電車が止まり、家に帰れなくなってしまったはずです。ところが、この日に限って別に理由はなかったのですが、いつもよりちょっと早めに家に帰ろうと思ったのです。つまり、これはもしかしたら「虫の知らせ」。

   ちょうど、地震が起きて地下鉄が緊急停車したのが、私がいつも降りる駅の一つ手前の駅だったのです。駅のアナウンスは「ただいま、東北地方に非常に大きな地震が発生しましたので、階段を使って急いで地上に出て下さい」。早く家に帰ろうとしたお陰で、私はひと駅歩くだけで家に帰れました。八年前の深く記憶に残ってる思い出です。

やっぱり楽しいオーディオ

   いつしか衰退の一途をたどっているオーディオですが、私としては相変わらず音の世界から離れることが出来ません。私の使っているオーディオ装置は決して自慢できるものではなくても、いつ聴いても自分の好みの音楽で楽しませてくれているのです。ちょっと使っている主要な装置を再度書かせて下さい。

   まず、プリメインアンプはのソニーの名器「TA-555ESL」(重量24キロ)。発売以来、もう約30年の月日が流れていますが、ソニーがオーディオに熱を入れていた時代に作った知る人ぞ知るの傑作で、相変わらず凄い音が出ています。このアンプを使って以来、これ一筋に現在に至っています。

   そして、スピーカーは、パイオニアのベストセラー「S-180A」。このスピーカーに出合うまで、単体のスピーカーを買っては不満、買っては不満で高音と低音のクロスオーバーを模索しながら、密閉型とバスレフ型に迷いつつ、どれほど、押入の中を使わなくなったスピーカーでいっぱいにしたか解りません。

   しかし、この「S-180A」を聴いてから、まったくほかのスピーカーに興味がいくことがなくなり、精神的に落ち着いたと言っていいでしょう。また、CDと同じくらいにLPをよく聴くのは、カートリッジに今も販売実績を挙げているデンオンの「DL-103」を使っているお陰で、日々、大満足の人生を送っています。

ヘレン・メリルのこれぞ名盤

   多摩美術大学、いわゆる「タマビ」を卒業し、本の装幀、似顔絵、イラスタレーターなどの仕事を本職としてる和田誠さん、映画や音楽にやたらに詳しく、その関係の本をいっぱい出版されています。その和田さんが書いた「いつか聴いた歌」(文藝春秋)に、一曲、私が好きなジャズのスタンダード曲が載っています。

   そのタイトルは「You’d Be So Nice to Come Home To」、邦訳すると「帰った時のあなたは素敵」。この曲にはヘレン。メリルがトランペッターのクリフォード・ブラウンをバックに歌っている名盤があり、何度繰り返し聴いているか解りません。 ともかく、二人のコンビネーション抜群にいいのです。

   この本の中で、和田さんは《この歌はたくさんの歌手が歌っていて、日本では何と言ってもヘレン・メリルの名唱がもっとも知られているだろう。そもそもこの歌の存在を知ったのはヘレン・メリルのレコードのおかげだという人も多く、実はぼくもその一人である》 と書いていますが、私はこの曲の存在はこのレコードの前から知ってました。

   ともかく、ヘレン・メリルは日本が好きで長いこと住んでいたし、日本のジャズ・ファンにも人気が高い歌手で、もしかしたら、このレコードを世界でいちばん評価したのは日本人かも知れないと和田さんは言ってます。ところで、クリフォード・ブラウンは1956年6月26日の雨の夜、交通事故で25歳の若さで他界しています。では、その名唱をお聴きになって下さい

命令形の童謡が多い白秋

   丸谷才一さんの随筆をブログのテーマに引用させて頂きたくなるのは、内容に私が初めて知ることが多くて、つい沢山の人に教えたくなってしまうのです。例えば、「命令形について」というタイトルの一文があり、書き出しは《国語学の先生には、子供のころ唱歌が得意だった人が多い。……》。

   そこで登場するのが、国語学の代表者とも言える金田一春彦先生で、「童謡・唱歌の世界」という本を書いていて、童謡には命令形が多いというのです。ことに北原白秋に沢山あり、例えば「雨ふり」、《あめあめ 降れ降れ、かあさんが 蛇の目でお迎ひ うれしいな ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン》.。

   更にもう一つ白秋の作品で「砂山」は《海は荒海 向うは佐渡よ すずめ啼け啼け もう日ははくれた みんな呼べ呼べ お星様出たぞ》、これを金田一さんは「子供は簡明・直截な表現を喜ぶ」からだと言ってるようですが、丸谷さんは子供はもっぱら母親から命令されることが多いことに対する作者が考えた子供のための憂さ晴らし。

   それでは白秋が作った命令形の「ビール樽」を最後に紹介しましょう。《コロガセ コロガセ ビール樽 赤イ落日(イリヒ)ノナダラ阪 トメテトマラヌモノナラバ コロガセ コロガセ ビール樽》。丸谷才一さんの随筆によって、白秋が命令形の多い童謡をやたらに作っているのを知りました。命令形って何だか調子がいいです。

「三大悪妻」と「三大美女」

    《世界の「三大」なんでも事典》という本から、「三大悪妻」と「三大美女」を紹介します。まず「三大悪妻」を挙げると、何と言っても哲学者ソクラテスの奥さんのクサンチッペで、人前で夫を罵倒し、頭から水を浴びせたことがあるそうです。次はモーツアルトの奥さんのコンスタンツェ、浪費家で家事能力がゼロ。

   そして、もう一人は、文豪トルストイの奥さんのソフィア。何しろ、愛想をつかしたトルストイは82歳の時に末娘を連れて家出しています。今度は「三大美女」の話です。ハムレットの作者シェークスピアがトップに挙げているのがクレオパトラ。鼻がもう少し低かったら歴史は変わったと言われています。

   次は中国の楊貴妃で、唐の皇帝、玄宗に愛されました。この二人に日本の小野小町を加えてよく世界の三大美女と言っているのは日本だけで、本当に美女だったかは疑わしいようです。それにしても、彼女が詠んだ「花の色は 移りにけりな いたずらに わが身世にふる ながめせし間に」がやたらに有名です。

   ご存じのように、この歌は百人一首に入っているのですが、小野小町の絵はなぜか後ろ姿で顔を見せていません。「絵師があまりの美しさに畏れ多くて描けなかったから」か「ブスで描けなかった」のどちらかですが定かではないようです。日本以外の国のもう一人の美女はギリシャ神話に登場するヘレネのようです。

税務署で「確定申告書」を作成

 リタイアして収入が国から頂く年金だけになっていても、3月15日(金)までに「確定申告」はちゃんとすべきです。ところで、去年までは「確定申告」の用紙が管轄の税務署より自宅に送られてきていましたが、今年から申告を基本的にパソコンでして貰う方針で送付するのを止めました。

   でも、税務署に行けば、入口に申告書も申告書を書くための説明書も山のように積んであるので、別にパソコンを使わないでも申告は出来ます。実は私の管轄の税務署「練馬東税務署」が建物の改修工事の関係で、大江戸線の終点駅「光台駅」から約10分の場所に 事務所を仮に移転しています。

   そこで、今日、去年の申告書の控え、今年年金事務所から送られてきている「源泉徴収票」、「東京海上保険」からの源泉徴収票、そして電卓を持ち、昼前に仮事務所を訪れました。当然、この時期には税務署内にデスクが用意してあるので、ここで申告書を作成し、提出する作戦です。

   税務署内は私と同じに、置いてあるデスクを有効に活用し、申告書を作成する人でごった返しています。どこか、いい場所がないか、税務署内を隅から隅まで探していたら、何とラッキーにも、デスクと椅子が置いてあり、それを衝立で囲んであるまるで個室のような理想的な場所を発見。この環境のお陰で申告書の作成は、元経理部長としては約30分で終わり申告書を提出しました。ちなみに、今年の還付金は2,674円です。

龍馬の書状発見の歴史学者

 歴史学者の磯田道史著「日本史の内幕」という本の中に《龍馬の書状「発見」二題》というタイトルで「歴史の研究をしていると、とほうもない史料に、ばったり出会うことがある」という書き出しで、NHKのバラエティー番組で掛け値なしで重要な書状が出てきて、「龍馬史」にこんなことを書いたことが出ていました。

   殺される直前、龍馬の頭にあったのは、朝廷(新政府)が独自の経済基盤を持つには、どうしたらよいかです。新政府が金札(紙幣)を発行し、通貨発行権を徳川家から回収しまうことだったのです。それで、当時、この件に最も詳しい三岡八郎(由利公正)に会いにわざわざ福井まで行っているのです。

   この時、龍馬と三岡が行った会談内容がこの発見された書状にあり、龍馬は三岡と新政府の「金銭国用=財政問題」を論じたとはっきり書いてあるというのです、つまり、鋳造貨幣ばかりの幕府と違って新政府は紙幣を発行しようと、この時二人が話したのは間違いないと磯田氏は断言しています。

   更に磯田氏は、このように「坂本龍馬全集」にも載っていない未知の書状が出てくるのは「新発見」だが、もう一つ、過去に存在は知られていたが、現物が行方不明のものが、「再発見」されることもあり、その現場は感動的だと書いています。恐らく、歴史学者にとっての醍醐味かも知れません。

オーディオ中古店老舗の閉店

   かってオーディオが隆盛を極めていた頃、恐らくオーディオ・マニアなら知らない人はいないと思う、秋葉原の有名な老舗中古店、(有)清進商会が3月31日をもって閉店することをネットで知りました。ともかく、秋葉原に行った時には、必ずと言っていいほど寄った店で、とても悲しい情報です。

   別に欲しいオーディオ機器があるわけではなくても、店頭に並んでいる古い有名なマシンを眺めるだけではなく、私のように店主の小川さんに会いオーディオの話をしにこの店に行った方はいっぱいいるに違いありません。3月末をもって、この店が無くなってしまうと思うと何だか胸がつまりそうになります。

   そこで昨日の午後、池袋の東武デパートでユーハイムの美味しいクッキー「テーゲベック」を買い、お別れの挨拶をしに秋葉原の「ラジオ会館」5階の清進商会に行ってきました。店には小川さんと奥さんがいて、閉店が迫った店にはプリメインアンプなどが 10台ほどありましたが、何だか涙が出そうになりました。

   小川さんと奥さんに「永い間、本当に有り難うございました」と挨拶しましたが、閉店の理由などはあえて聞きませんでした。それにしても、清進商会を出た後、夕暮れの秋葉原の街を少し歩いてみましただが、オーディオ機器販売店がずらりと並んでいた頃の風景が脳裏をかすめ、オーディオの衰退に溜息をつきながら家路に向かいました。

難しい「笑い」の量の調節

   医学を専攻した志水彰、角辻豊、中村真の三人の共著「人はなぜ笑うのか」(講談社)という本によると、「冗談ばかり言っている人はリーダーになれない」のだそうです。笑いは対人関係をスムーズにするからといって、笑ってばかりいてよいものではなく、お酒に適量があるように笑いにも適当な量があるのです。

   ある集団に冗談ばかり言っている人がいるとすると、その人は決してその集団のリーダーにはなれないのだそうです。これは洋の東西を問わず真理で、笑いの中にある「弛緩」の要素が信用の失墜、信頼感の喪失につながる場合があるのです、例えば、ある喜劇を観た時、笑う人と笑わない人がいます。

   まず、その喜劇の意味を理解出来ない人は笑えません。また、同じようなネタの喜劇を何回も見てる人は、それが笑いを誘う刺激として作用しないのでその人も笑いません。それに、笑いにはその日の気分が大きく影響し、相手が何でも笑ってくれるとは限らず、逆に働くこともあるのです。

   つまり、いつも冗談っぽい口調で何かを言ってると、信頼感が次第に薄れてしまうことだってあるのです。従って、真面目なことを言う場合に「笑い」の要素をどのくらい入れればいいのかをよく考えないと相手が信頼しなくなってしまうのです。笑いの量の調節って難しいです。

モーツアルトの「レクイエム」

   音楽作品を二人で合作しているので有名なのはビートルズのレノンとマッカートニー、ビートルズの楽曲はほとんどがこの二人の合作であるのは有名な話です。では、クラシック音楽の世界で、こんなことってあるのか、中川右介著「クラシック音楽の歴史」に書いていますので紹介しましょう。

    オペラのように、歌詞と作曲が別の人というのは、当然ありますが、二人で一緒に作曲した例は聞いたことがありません。ただ、ある作曲家が未完のまま他界してしまい、別の人が後を継いで完成させた曲で有名なのはモーツアルトの「レクイエム」。この曲は14曲で構成されていて、モーツアルトが作ったのは2曲だけ。

   この曲はモーツアルトがある伯爵から受けた仕事で、報酬の半分は伯爵から前金で貰っています。しかし、モーツアルトが亡くなってしまったので、完成しないことには残金を受け取ることが出来ません。そこで、未亡人になったコンスタンツェが弟子のジュスマイヤーに作曲を依頼したのです。

   このモーツアルトの「レクイエム」、カラヤンがベルリン・フィルとウィーン・フィルを指揮したものと、バーンスタインがバイエルン放送交響楽団を指揮した3枚のCDを持っていますが、いつもモーツアルトが最初から最後まで作曲したような緊迫感を覚えながら聴いています。すべて大好きです。

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