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丸谷才一さんとカラヤン

   愉快なので、またしても丸谷才一さんの随筆から話題を提供することをお許し下さい。丸谷さんの「ベートーヴェンから話ははじまる」というタイトルの随筆の中で、ヘルベルト・フォン・カラヤン(「第九」の演奏ですよ!)がベルリン・フィルを連れて来日した時の演奏会の様子を書いてるのでブログに取り上げたくなりました。

   何しろ、1957年のことなのでかなり古いです。ここはもう丸谷さん独特の知的でユーモラスな筆致をコピーするしか無いでしょう、《あれはたしか《「未完成」だったと思うが、本当にびっくりしたものだった。…曲がはじまってしばらくすると変な気持になった。誰かが声を出している。うるさい。

   最初わたしは、聴衆のなかの誰か不埒な奴が陶酔して節を唸っているのだと思った。次に、オーケストラのプレイヤーのなかの誰か、位置の見当から言っておそらく弦の奏者だと思った。が、しばらくして、唸っているのはカラヤンだと気がついた。明らかに指揮者が、いい気持そうにして。

   「イー!イー!」と(そう聞えた)唸っているのである。じつに耳ざわりである。けしからん。しかしまさか、駆け上がって、鼻歌はよせとカラヤンに注意するわけにもいかないから、ほおっておいた。休憩になってロビーに出ると、吉田秀和さんに会った。早速このことを言いつけると「おや、そうなの?」という返事である。マエストロはどうやら、上手に声の出し方を加減していて、高名な音楽評論家の席までは届かないように気をつけてやっているらしい。いよいよけしからん。…》。この話好きで、古いけどアップしてしまいました。

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