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短編小説の醍醐味

   短編小説大好きです。短いからこその独特のワザがあって、長編小説にはない魅力があります。その短編を沢山書いている阿刀田高のエッセイ集「短編小説より愛を込めて」(新潮社)には面白い短編小説を作る裏話がいっぱい出てくるので、短編小説の愛好者にとっては堪らない本かも知れません。

   さて、機知に富んだ知的な短編小説を紹介します。森瑶子の「ベッドのおとぎばなし」(文藝春秋社)の上下二冊。全部で73編の短編小説が入っていますが、さすが短編小説の名手だけあって、結末にヒネリが利いてて読ませます。そして、もう一つ「東京発 千夜一夜」(朝日新聞社)の上下二冊併せて200編もいいです。

   それで、大推薦したいのは渡辺淳一の短編集「パリ行最終便」(新潮社)の中にある同名の「パリ行最終便」。裏表紙に《別れた男を忘れるためにアムステルダムで暮らす靖子。その彼からパリで会いたいという航空便が届く……。揺れ動く女性の内面を鮮やかに描き出した表題作》とありますが傑作です。

   約束の当日、靖子はパリ行きの飛行機の時間を気にしながら、行くか行かないか悩みます。金曜日の夕方、会社を出て飛行場に行くまでの描写も秀逸で、最終便になる前に乗ろうと思えば乗れたのに躊躇して最終便になってしまいます。その先は小説を読んで短編小説の醍醐味を味合って下さい。余韻が残る洒落た結末です。

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